うた、ことば、ふうけい。

合唱、作曲、その他いろいろなこと。

乗り越えた先に

ぼくがSHISHAMOのライブに行くのは、何かを乗り越えた先にあることが多い気がする。2021年11月に初めてライブに行ったのは、慣れない関東生活とかコロナ禍とかがいろいろ相まって精神的にしんどかったところから調子が戻ってきた頃だった。2022年はもっとポジティブで、合唱の全国コンクールにあい混で出場して2位金賞をいただいた翌週のことであった。今年(2023年)夏の野音も、Flowing Cloudsの企画をなんとか成功のうちに終わらせた後だった。

そしてこの秋は、突然に関東での生活が終わり、関西という第二の故郷に戻ってきたタイミングであった。乗り越えたというと微妙かもしれないが、いろいろあった(正直しんどかった)3年半の関東生活をなんとかやり切ったという気持ちはあるので、乗り越えたの部類に入れてもいいのかなと思う。

ただ、どちらかといえば、関西に戻って人生的にも次なる章が始まったようなタイミングで、SHISHAMOの10周年イヤーが終わりを迎え、次なるステージが始まったということのほうが、大きな意味を持っているかもしれない。今回のライブも、そのような実感を得られるものであった。

区切りは一つの終わりでもあるが、それまでやってきたことがなくなるわけではない。蓄積として次なるステージにも引き継がれる。デビューアルバムに収録の「恋する」が10周年イヤーのある種のテーマソングとして演奏されてきたのもそうだし、SHISHAMOが新旧問わずこれまで発表してきた曲をどれも大事にして、演奏してきたのはその証左であろう。

そして何よりうれしいのは、常に進化した演奏を聴かせてくれることである。10周年イヤーをやり遂げてまた一回り大人になったような気もするし、それでいて全力の演奏で。2日目のラスト「明日も」は持てる全てをそこに出し尽くしたかのようで、恒例の「明日はない」すら文字通り吹き飛ばしてしまったかのようだった。11年目のSHISHAMOはこんなもんじゃないぞと、その先を見せてくれたような気がした。

自分も、これまでたくさん大変なことがあったけど、一方でたくさんの素晴らしい経験をして、ここまでやってきた。その経験はなくなることなく、自分が努力さえすれば、進化した形で活かされていくことだろう。前へ。明日へ。次なるステージへ。関西に戻ってきたからこそやれること、やるべきことがたくさんある。今回のライブで得たエネルギーを糧に、明日からも進んでいこう。

そしてまた、大きなことを乗り越えた先に、SHISHAMOのライブがあってくれたらいいな。11年目のSHISHAMOも楽しみにしています。